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保証意思宣明

保証意思宣明・保証意思宣明公正証書の作成

保証意思宣明公正証書とは

 民法の改正に伴い、事業用融資の保証契約を行うに当たっては、その締結日の前1か月以内に、保証人になろうとする者の保証意思を、公証人に面前で直接確認してもらい、公正証書を作成しておく必要があります。この際に作成する公正証書が、「保証意思宣明公正証書」です。
 この措置は、令和2年4月1日以降に締結された事業用融資の保証契約から適用されています。該当する場合は、あらかじめ「保証意思宣明公正証書」を作成しておくことが必要です。
 従って、これ以降に作成した事業用融資の保証契約については、同公正証書の作成がなければ、本件契約の効力が生じないこととなります。
 
 【参考】 下記の「保証意思宣明公正証書作成手続きの流れチャート」参照
 

作成手続きの流れチャート

作成手続きの流れチャート(2020-02-05・61KB)

保証意思宣明公正証書作成の典型的な事例・不要な事例

1 作成が必要な典型的事例
⑴ 事業のために負担した貸金等債務(金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務)を主たる債務とする保証契約を締結する場合。
⑵ 主たる債務の範囲に、事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約を締結する場合。
⑶ 前記⑴、⑵の各契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約の場合。
 
2 作成が不要な事例
⑴ 前記1の⑴、⑵、⑶の場合であっても、会社等の法人が保証人になろうとする場合。
⑵ 保証人になろうとする者が
① 主たる債務者が、法人である場合のその法人の理事・取締役等、又は総株主の議決権の過半数を有する者であるとき。
② 主たる債務者が、個人である場合の共同事業者、又は主たる債務者が行う事業に現に従事しているその配偶者などであるとき。   
 

作成の手続き

1 公正証書作成に係る具体的な手続き
  ⑴ 保証意思宣明公正証書は、保証契約締結日の前1か月以内の日を作成日に設定する。
 作成当日は、保証人になろうとする者本人が役場に出向いて手続きを行います。本件公正証書は、法の規定するところにより、公証人が、保証人になろうとする者から直接、次項⑵に係る内容を確認した上で作成したものでなければ効力が生じません。つまり、代理人を立てての作成はできませんので注意が必要です。
⑵  公証人の確認事項
  ア 通常の保証契約(根保証契約でない保証契約)の場合
   保証人になろうとする者が公証人に対し、保証しようとしている債務の具体的内
       容、すなわち
① 主たる債務の債権者と債務者
② 主たる債務の元本と従たるもの(利息、違約金、損害賠償など)についての定めの有無及びその内容
③ 主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思を有していることを説明し、保証人になろうとする者が、①と②の事項を十分に理解し、その上で③の意思を有していることを確認してもらいます。
  イ 根保証契約の場合
   保証人となろうとする者が公証人に対し
① 主たる債務の債権者と債務者
② 主たる債務の範囲、極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容
③ 主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において、元本確定までに生じる主たる債務の元本及び従たる債務の全額について履行する意思を有していることを説明し、保証人となろうとする者が、①と②の事項を十分に理解し、その上で③の意思を有していることを確認してもらいます。
ウ さらに、公証人は、保証人になろうとする者が、保証債務を履行できなかった場合の様々な不利益(住宅用不動産や給与が差し押さえられる等があること)を具体的に理解していることも確認します。また、連帯保証契約の場合には、債権者が主たる債務者に対して催告したかどうか等にかかわらず、その全額について履行する意思を有していることも確認します。
エ 以上に加え公証人は、保証人になろうとする者が、主たる債務者からその財産及び収支の状況等に関する情報提供を受けているかどうかも確認します。
 すなわち、主たる債務者において、保証人になろうとする者に対して
① 財産及び収支の状況
② 主たる債務以外の債務の有無、その額と履行状況
③ 不動産等、主たる債務の担保として他に提供するものがあるときは、その旨及びその内容に関する情報が正しく提供されているかを確認します。
注:主たる債務者が、前記情報を正しく提供しなかったために、保証人になろうとする者が事実を誤認し、債権者もそれを知り、又は知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができることにもなります。
 これらは、保証人となろうとする者に、その主たる債務を保証することのリスクを把握させた上で、保証人になるかどうかを慎重かつ適切に決定させることにあります。
2 上記1の⑵に係る書面の提出
  保証人になろうとする者は、公正証書の作成前に、公証人に対し主たる債務に関する
 ①金銭消費貸借契約書(案)
 ②保証契約書(案)
 ③保証意思宣明書(日本公証人連合会のHP参照)
 等の資料を提出します。
 このうちの前記③「保証意思宣明書」は、保証人になろうとする者が公証人に対して述べなければならない事項(前記1の⑵)を一覧的に記載したもので、保証人になろうとする者が本件保証契約内容をあらかじめ整理し、理解するために有効なものです。
日本公証人連合会のホームページに記載方法や書式が掲載されております。
  注:保証人になろうとする者が、「保証意思宣明書」を事前に公証人に提出済であっても、公証人の面前で口頭により保証の意思を述べる手続きが省略されることはありませんので、ご留意願います。

作成手数料

 作成手数料は、保証債務の金額には関係なく、原則として1件・1万1000円で、保証人・保証契約ごとに計算します。
 例えば
① 保証契約1件・保証人1人では、1万1000円
② 保証契約1件・保証人2人(連名)では、2万2000円
③ 保証契約2件・保証人1人では、2万2000円
となります。
 
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